第3章 跳躍
「おねえさん!体調は?もういいの?」
私が場所を聞いたからだろうか、コナンくんが駆け寄ってくれて優しい言葉をくれた。
本当は辛い。見殺したんじゃ無いかと
“甘えだ”
知っている私が止められたんじゃ無いかと
“傲慢だ”
「大丈夫ですか?」
蘭ちゃんの優しい声が突き刺さった。なんともないよ大丈夫と言いかけたその時
「どーしてできねーんだよ!そうじゃねえつってんだろ!」
借りスタジオの向かい側から聞こえてきた声にハッとする。私に言っている気がしてしまって、声がした方を見るとライブハウスの前で喧嘩している4人が見えた。
「俺は抜ける!今日のライブはお前らでやれッ」
1人がその場から立ち去る場で、呼び止めようとする3人は口々に頭を冷やせお前じゃなくても代わりはいる等と言っている。
「あの人たちが気になるの?」
コナンくんが聞いてくれた。その問いに頷くと私の手を掴み引っ張ってその3人の元へ向かおうとするから私はそれに釣られた。
子供の体のせいで力は全然無いのに、人を動かす“チカラ”が存在する事を実感させられた瞬間だった。
「おにーさんたち喧嘩しちゃったの?」
3人になんの迷いもなくコナンくんは話しかける。事情を聞けば音楽性の違いだという話で、大体そんなもんだと思っていた私は余り驚くことは無かった。
「ただ、アイツ。ギターボーカルなんだよ。あんま時間もねーし、チケットはもう完売しちまってる。客に金返して中止するしかねえかもな。」
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