第3章 跳躍
主人公said
既にバタフライエフェクトは起きているのかもしれない。
それと何で気を失って阿笠博士の家に戻るまで起きず、着いたばかりで目が覚めた?
まるで起こる事件を止めさせない様だ。
このタイミングで目が覚めたのは意味があるんじゃ無いのか?
“私欲だ”
そんな言葉が更に頭の中をよぎり、
赤井さんと話す内容に恐怖を覚える。
何をさせたいんだ、この世界に私を呼んで。
「…向かわれてみては?」
さっきまで赤井さんの口調で話していた沖矢さんが言った。
いつの間にか視線を落として考えていた私はその声に顔をあげた。
「“目が覚めた理由”を考えていたんでしょう?」
沖矢さんが更に続ける。
「僕も同じ考えです。“理由がある。”それに、このままここに留まっても、何も出来る事はないでしょう。気絶ばかりしていて休んでない様には思えませんしね。」
背中を押される感覚を持ちながらソファから立ち上がり、玄関に向かった。
ドアを閉める直前、沖矢さんに向き直って言いたい事を言った。
「…“気絶ばかりしていて休みっ放し”って、
休んでる訳じゃありません!」
「おや?いってきますと言われると思っていました。」
一瞬だけ驚いた様子を見せた沖矢さんはすぐに口元を笑わせながら楽しそうにした。
その様子にまた“早く行って来い”と言われている様でむず痒くなり玄関ドアを思いっきり閉めた。
この世界の携帯を取り出しコナンくんに連絡する。貸しスタジオに行く事は知っているが場所や名前までは思い出せない。コナンくんがくれたのはマップ情報で直ぐにこれを確認しながらその方向にワイヤーを射出させた。
何度か博士が作ってくれた衝撃吸収シューズの感触を確かめながら思う。ワイヤーの力で身体を引っ張っているだけだが、世界記録出す様な人たちはきっとこんな速度なんだろな。私はチートだけど。
考え事をしているとあっという間に目的の場所に着いた。が、世界線の壁は途方もなく到底捻じ曲げられる物では無いと思い知らされた。
この事件の犯人が警察によって連れて行かれているところだった。目暮警部や高木くんもその場を後にしている様だった。
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