第1章 手順
赤井side
「赤井秀一が煮詰まっているという状態がだ。」
何?と思い横の奴の顔を横目に見ると唇に右の指を当てて口元がとても楽しそうに笑っている。
「メリットならいつでもあげられるんだが、答えられない事もあるし私の瞳孔や脈を見て真相を知ろうとするなら私はいつでも自害するし目を潰してでも真相は喪に伏す。」
彼女の綺麗な顔立ちと瞳を視界に捉える。
「…参ったな。」
ーー真剣に言っているーー
「出会った時に連れ帰ったのが間違いだったんだ。救急車を呼んで匿名でいれば巻き込まれずに済んだ。」
ーー!
俺の考えを読んでくる。
この子が敵の側ならとっくに何らかを仕掛けているだろう。だがどうだ、無防備に助手席でうたた寝を始めてしまった。
盗聴器などの物を持っている事もなくその身と携帯を持っているだけで詳細な情報を掴めない。
その携帯も先程から一向に開こうとしない。時折ポケットに手を入れてはロックがかかった画面を覗いてすぐに仕舞っていた。
小さいく華奢な身体を見て部屋に抱き抱えた時を思い出す。随分軽く感じたがちゃんと食っているのか?この世界に来たと言っていたが来てどのくらいなんだ?また色々と聞きたい事ができて口元が緩む。
「…確かに面白い。」
彼女が伝えた江古田高校の近くに車を停め彼女の肩を揺らした。
主人公said
「おい、起きろ。」
身体を揺する大きい手にはっとして手の主、赤井さんを見た。
「着いたぞ。」
「ああ、有難う。今何時かな?」
「15時30分だな。」
「普通ならこのくらいの時間が下校時刻だから、そろそろ生徒が出てくるはず。行ってくるから、此処にいて欲しい。」
「それは構わないが、大丈夫か?」
「何とか出来ると思う。」
高校の正門に行きその辺の子に適当に声を掛ける。
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