第2章 “才能”
主人公said
阿笠博士の家に着くと玄関前で沖矢さんの声が聞こえた。
「それとも、1人で彼の安否をヤキモキしながら待ってますか?」
意地悪な声が聞こえる。私は沖矢さんの後ろから声をかける。
「そんな事言うから無駄に警戒されるんだ。楽しんで遊んでんだろ?」
そんな事ないですよと口角を上げながら言う沖矢さんはただのいじめっ子にしか見えない。
いじめっ子を無視して哀ちゃんに近付く
「私が行くからメガネ貸して、哀ちゃんが後ろに乗ってくれてもいいよ」
「…あなたになら任せられるから、通話状態で。発信機は私が見るから。」
急いで番号を交換し、世良から借りたバイクヘルメットの内蔵スピーカーと携帯を接続し、阿笠博士宅と書かれた番号にこちらからかけた。
『聞こえる?』
スピーカーから哀ちゃんの声が聞こえた為、
哀ちゃんの方に向き直り、指2本で軽く敬礼して急いでその場を出発した。
沖矢said
あのバイク、どうやって手に入れたんだと不思議になるが今は先に後追う方が良いだろうと考え、
「では僕はセカンドオピニオンという事で」
と言い残し、彼女の尾行を開始した。
携帯を出そうと手を入れようとすると重みを感じられないことに気付く。
「…スリの才能もあったのか」
ということは、盗んだのは彼女でさっきバイクヘルメットの内蔵スピーカーに繋いでいたのは俺の携帯の方か。
ーー新しい携帯が2台必要になるなーーー
盗んだのは壊す必要が出来るためだろう。彼女の目にはどこまで先が見えているんだ…?
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