第2章 “才能”
「どしたの?」
「あっ、らんねーちゃん。この間来た女の人がこの辺りに越してきたんだけど右も左も分からないんだって。誰にも頼れなくて、…
ーー言ってて気付いた、あの人は頼れる人が今
少ない状態なんだ、俺が頼れる人が少なかったみてぇに、ーーー
…だから!らんねーちゃん案内してあげてくれない?出来れば大勢の方が楽しいと思うよ!世良のねーちゃんと園子ねーちゃんも誘ってさ!」
自然とそう言うと俺の目線に合わせ欄がしゃがむ。分かった。まかせて。と蘭の優しい瞳に俺は嬉しくなった。
「あ!そだ、あの人バイク好きって言ってたから世良のねーちゃんと話が合うかも!」
「ほんと?じゃ世良ちゃんに言ってみよっか。」
蘭は園子と世良に連絡しながら、俺と安室さんとおっちゃんは全員一緒に事務所を出た。
主人公said
暫くすると蘭ちゃんがやってきた。
「お待たせしてすみません!」
「こちらこそ、無理を言ってごめんなさい。」
「全然大丈夫ですよ。あ!園子!」
「らーん!」
物語を知っている身としては”初めまして”なんて気分じゃないんだけどな。当たり障りなく接した方が良さそうだな。
「世良ちゃんも来た!」
園子が手を振ると世良真澄が片手でバイクを押しながら手を振り返した。
ーーー全部伝えてくれたんだな、よかったーー
始めましてと挨拶するところから名前の呼び方まで決められ、私のあだ名は“お姉さん”になった。
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