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D.World.

第2章 “才能”




彼女の顔つきが険しくなる。左手の甲に右肘を付け人差し指を曲げた状態で自分の唇につけ、少し考える様子を俺に見せた後、ゆっくり話し始めた。


「…タイムリープした理由は恐らく、安室透に会う必要があったからだろう。タイムリープの期間は1週間あった。その1週間は私には数時間だ。携帯の日付だけが進み、時間は同じ間隔。1日目から6日目までは店を違う時間には出られなくて、7日目だけもう少し早い時間で出る事ができた。けれど自分はここに戻らないから、どうしたら良いかと考えてると頭の中に浮かんだのは毛利探偵事務所だった。だから、そこまで運転して貰って降りたら時間はいつもの時間で。もしそこで私の痕跡が消えた、或いは私が消えた様に見えたら、毛利探偵事務所とポアロに何かあるって思うだろうな。だから私が原因だったら、と。」

「お前が知っている物語は?」

「それは、安室透が毛利小五郎の弟子になりポアロでバイトしているって話だな。」


ようやく彼女の話が理解でき、バタフライエフェクトを気にした事も納得した。

「…そんなに情報を伏せて話されては誰も理解出来んだろう。」

「だからそれ、何で?」

「…。」

何で、と言われてもな。と考えているとボウヤのことを思い出した。

「……推理は彼の才能だ。俺はスナイプ。阿笠博士は発明。人にはそれぞれ才能がある。お前の“それ”は“才能”なんだ。他人には理解し辛いものだからな。すぐじゃなくていい、出来るだけ伝えようとしてみろ。」


話し終えたが彼女はじーっと俺を見ているが少し普段より驚いた顔をしている。聞いていたのか?と思い、屈んで顔を覗き込むとほんの少しだけ頬が赤くなり、彼女が頷いた。


「…お前は“洞察力”に長けているな。」


主人公said

赤井さんの大きな手が私の頭の上にきて、ぽんぽんと撫でた。けれど手加減が出来ておらず私は強めの衝撃を受ける。赤井さんの手首を両手で掴み、少しずらして赤井さんの顔を見る。

「ちょっと痛い。」


赤井さんが私の顔をじっと見てすまないと軽く謝ってくれた。
赤井さんは首元の変声機に手を当てると沖矢さんの声で

「ボウヤは事務所にいると思いますので、行きますか?」

「あ、1人で行く。」


反射的に言ってしまうと沖矢さんは顔を近付けてくる。

「…さっき言ったこと、実行して下さい。」


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