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D.World.

第2章 “才能”






主人公said


身体を起こし、背伸びすると沖矢さんの顔が目の前にある。

「肉じゃが、食べられますか?」

何日寝ていた状態だったのか分からないが、食欲はあるようでお腹がなる。

俯き、恥ずかしい気持ちにはなるが現象の1つと捉え沖矢に向き直ると口角上がってやがる。

「…じゃがいもだけ。」

作った人は気にせず食べて欲しいだろうという事を踏まえた些細な反抗心が芽生え答えた。
ベッドから出て枕元の自分の携帯を無意識に取って気付いた。

ーー立ちくらみも筋力の低下もないーー

変わらず脈は無く血管の青い筋も見当たらない自分の腕を眺めながら、筋や筋肉は存在するんだなとまじまじ観察しながら沖矢の後をつけた。


目が覚めたのか良かったと騒ぐ博士に哀ちゃんが携帯のことを言うように指さす。

「あぁ、君の携帯じゃが、」

「これ?」

自分の携帯を表示させると再びパスワードの画面になっていた。

「…君が寝込んだ後着信があってのぉ、出たんじゃが相手は何も言わんで何も聞こえんから切ろうとして画面を見たら、“彼女の意識は此処にある。通話を切らずそのまま彼女の枕元に置いて欲しい”って書いてたんじゃ。今は通話切れてるようじゃな。」

画面を覗き込んで通話の状態を確認した阿笠博士の発言を聞いて、哀ちゃんがふうっと大きくため息をついて私に近付いてきた。腕やら脚やら色々な所を細かく眺められる。

「あなたが何日も起きないから心配したわ。」


「ありがとう哀ちゃん。」


嬉しくなって素直にお礼を言うと彼女は少し照れているようで別にと言ってそっぽむいた。


「携帯がまた同じようになったら、今回と同じ様にして貰っていい?通話相手は居ないと思うから。」

「どういうこと?」

そっぽむいた哀ちゃんが直ぐにこっちを向いてくれてまた嬉しくなった。哀ちゃんの仕草って可愛いなと思いながら頬をぷにぷにした。
すごくじとっとした目で見られたので手を止めてポケットに突っ込んで赤井さんがくれた携帯を取り出した。



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