第2章 “才能”
沖矢said
作った肉じゃがを持って阿笠博士の家に入る。
灰原と呼ばれる少女はこちらを警戒しているようだが、阿笠博士はお礼を言いながら受け取りキッチンに置いた。
「博士、彼女の容態は如何ですか?」
「んー、芳しくはないのぉいつ起きてくれるか全く分からんのじゃが、」
「なにか?」
「彼女の横に携帯を置いてるんじゃ、誰と繋がっているのか分からんからのぉ。様子を見に行くなら注意してくれ。」
阿笠博士は心配そうで、困った顔をしている。
得意ですよと沖矢の声で話すと少女は睨んできた。
気にせず彼女の部屋に向かう。
ドアをゆっくり開け、近付く。
布団を少し捲り、彼女の腕を取る。細い身体に筋力は存在するのかと疑問に思う程だが一応マッサージしていく。
両腕を終え、足元に行き布団を捲ると心配で移動してきた少女の視線が後ろから突き刺さった。気にせず続けて、彼女の顔を眺めているとやがて彼女の口が少し開いた。
ーーー会わなきゃいけない。ーーー
今度は誰に会おうというのかと考えていると彼女が薄く目を開けた。
「…おなかすいた。」
その様子にフッと笑いが漏れてしまった。