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D.World.

第2章 “才能”





降谷side

僕の憶測の範囲までしか彼女は多くを話してはくれない。
こちらが話しかけてる間に、欲しい答えが返ってきてしまう状況。頭の中で状況を整理しかねているのに、このまま彼女を帰してしまったら何も進展していないのとあまり変わらないんじゃないか、そう思うと今日の分を急いで支払い彼女の姿を追おうと急いで店を出たのだが、まるで全てを知っている様な彼女は月明かりに照らされながら夜空を眺めている。

「教えてくれ。」

彼女はゆっくりこちらを見て少し微笑んでいる。月に照らされたその姿は妖艶でたった数秒の事が写真で切り取られたかの様に脳裏に焼き付いた。

「何を知りたい?」


なぜ僕を知っているのかを尋ねようとしたが、彼女のその姿に魅入ってしまい、声が喉を通らない。聞けないような気がして

そのまま立ち尽くしていると彼女から手を伸ばしてきた。何をしたいのか分からず、疑問に思って同じ様に手を伸ばすと掴まれたと思った瞬間にはもう引き寄せられていた。
彼女にぶつかりそうになるのを左足で耐えると先程まで立っていた位置でドアが開いた。

ーーなんだ、ただ客が出てくるのが俺の後ろで見えただけかーー

そう考えたのも束の間、目の前の彼女の背の高さに気付いてはっとする。

ーー見える筈がない、僕の身長越しに、ドアが開くよりも前に差し出された手、華奢な身体で、僕が引かれても踏ん張れば逆に自分が寄せられただろうーー

彼女には、一体何が見えてるっていうんだ。
僕の視線に彼女が視線を合わせる。ゆっくり動く瞳は遠目では青く見えたのだが今は少し紫がかって見える。不思議な色をしていると思っていると彼女が口を開いた。



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