第20章 世界
沖矢said
彼女に言われるまま車を走らせ、貨物コンテナのある場所へ向かった。
「ほぉ…これは、興味深いですね」
其処には、米軍標準船C3を模して其処から改装したと思われる船があった。殆ど原型は無く、デッキにはテラスとカフェかフレンチでも出せそうな店の様だ。
更に階を違えてヘリが停まっているが、その反対側には20ミリ機関砲が設置出来そうな場所がある。
だが其処に機関砲は置いていないようだ。日本に留まらず、どこへ行くにしても銃器を積んでいる事で面倒になるのだろう。
「車ごと中に入れるから、フェリー乗るつもりで入って。」
彼女の発言にボウヤはそんな気楽な物じゃ無いだろと言わんばかりな表情を浮かべる。
言われるがままの車を船に乗せ、降りると降谷君が歩いて乗船してきた。
「おや?…彼の車は乗せないんですか?
まだこんなにスペースがあるのに」
思ったままを尋ねると彼女は悪びれる様子もなく、もしRX7が沈んだら嫌だスバル360はいいけどと言った。
「…貴方がスポーツカー好きなのはよく分かりましたが……その言い方には少し、お灸を据えたくなりました。」
後ろから耳元で囁きながら反対側の首筋を
彼女の髪を無視して撫でるとその華奢な身体はビクビクと震えた。
そう遠く無い距離に居る降谷君が何か言ってくるかと思ったが、彼は立ち止まったまま此方を睨んでいるだけだった。
意外に思っていると、右斜め上後方から
彼女の首筋を撫でる腕目掛けて脚が降りてくるのが見え、咄嗟にそれを交わした。
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