第19章 “漆黒”
沖矢said
ボウヤと共に身を潜めていると凄まじい銃声が辺りに響いた。乱闘の様にも思えたが、それにしては鳴り止むまでが早い。で、あるとすればそれは彼女に向けられたものだろう。
案の定、降谷君の腕に抱えられた彼女は血塗れで服には無数の穴が空いていた。
一応ジャケットは肩からかけられているが、後部座席に乗せた彼女に自分のジャケットを腰から下にかけた。
工藤邸に帰ろうと車のエンジンをかけたその時、後ろから耳元で彼女が話しかけてきた。
「此処から程近い、港へ向かって欲しい。」
『例の貨物コンテナのある場所ですか?』
彼女の左側で通話しているのだろう、電子音を混じえた降谷君の声が聞こえた。
「そうだよ。品川の。」
それだけ言うと彼女は通話を切り
此方には案内すると言った。
19章🔚