第18章 合図
「…何か、聞きたい事がありますよね?」
投げ掛けられる質問に今まで考えていた事が一旦停止される。一番の疑問は
「…貴方は僕が知っている“彼女”ですか?…」
単純過ぎる質問だと自分でも思う。けれど船に乗るまで、というか今日ずっとそうかもしれない。彼女が今知っている彼女では無い気がした。それでもポアロでの店主とのやりとりを見る限りでは何処が違うとも言い切れない。そして何より、この馬鹿げた質問に彼女は笑わなかった。
「安室さんには“お詫び”がしたいって言いましたよね…私は、この世界の成り行きを知っていながら教える事も出来ない。手伝う事も、阻止する事も。“干渉”が許されない。……なのに私は干渉している。出来るだけ、その場で起きた事に、誰かが見た事に、変化が無いように。」
「…それは…」
「正直、話すのは躊躇ってる。でも、何もしない結果が、望まないものなら私は避けたい…」
「何を、話すつもりなんだ?」
「……此処が、安室さんが欲しがってた答え。
“海の上”の“セーフティポイント”」
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