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D.World.

第18章 合図








安室said


車を走らせて数十分。貨物用コンテナのある港に着いた。

「…此処って」

「そうですよ。私を安室さんが連れて来てくれた所。」

小さ過ぎず、けれど大きくもない船の近くに車を停め、降りるよう促される。
車外に出て彼女の後をついて歩くが、その足先はどう見ても船に乗るつもりだ。

「……」

少し足を早め彼女の表情を見るがいつもと変わらない穏やかな顔をしている。

視線を船に戻すと船の手前に人が立っているのが見えた。

「安室さんの家に寄った時、着替えて貰ったのにまた船に乗る事を告げなくてすみません。」

「それは構いませんよ?」

「取り敢えず乗りましょう。話はその後で。」


質問される事が分かっている。この状況で聞きたい事が無い方が可笑しい。船に乗り込む直前、手前に立っていた人がこの間彼女を連れて行った“中性的なアメリカ人”だと分かる。

若干睨まれたような気がしたが見なかった事に。乗り込むと彼女はその人に何かを話しながらハマグリの入った箱を渡した。
その箱を受け取って2、3回頷くと船内の何処かへ行ってしまった。

彼女はそれを見送ってから船の側部にある階段を登る。その後をついて進むと船がゆっくり動き出した。どうやら沖へ向かうらしい。

階段を上り終えると其処にはオープンデッキにお洒落なテーブルと椅子が置かれている。

さっきまで乗っていた車が見える位置で立ち止まると彼女は携帯を取り出し、何処かへ電話をかけた。

「…圏外に出たらやって。」

それだけ言うと通話を切りまたポケットに仕舞った。
取り敢えず彼女の動きに合わせ車の方を見ると直後、大きな音と共に炎がICPOが所有するというその車を包んだ。

驚いて彼女を見ると彼女は既に此方を微笑みながら眺めるように手すりを使い頬杖をして見ていて

「…困るんですよ。あの車を調べられると」

確かにそう言った。




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