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D.World.

第18章 合図








水の中。砂に足を取られ貝を巻き込みながら採っていくカゴは絶対重い。心なしか少し奥歯を噛んでいるように見える。
肘を付いて眺めていると安室さんはカゴの中を確認して海を上る動きをすると

その様子に合わせてバケツを2つ持って彼に近づく。

「お疲れ様です」

「ああ…結構採れますよ。」

言われ慣れている発言だったんだろう、一瞬だけ降谷零がいた。疲れてるのかなと考えるが聞かなかった事にして文脈後半の安室透に合わせる。

「大漁ですね。」

「ええ、でも後1つ一杯になるまで必要なんですよね?」

「そうです。お願いします。」

顔の前で両手をぱんっと合わせるといってきますと笑顔で返される。

パラソルの下にバケツを置き、貝の中から一際大きく表面がツルツルしたものを取り出す。

ーー珍しい。5つもあるなんて…ーー

自分で持ってきていたタッパーを取り出してその中に収めていると今度は安室さんがパラソルの下まで帰ってきた。

「え?」

顔を上げると安室さんは何故か頭から濡れている。いつも跳ねている耳の横の毛が水に濡れたおかげで重くなり、落ち着いている。

「…何で頭から濡れているのって顔してますね」

無邪気な笑顔を向けられた。この笑顔は正直狡いと思う。

「…まぁ、折角の海ですからね…」

直視しづらい笑顔に頑張って笑いかける。

もう1つのバケツに貝を入れて貰い、蓋をする。此方のカゴには大きい貝は入っていなかった。

「ん?これは…」





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