第1章 手順
沖矢said
まるで行動が読めないな。脈がないだと?抱えた時そんなふうには見えなかったが、測った訳では無いな。しかし強みって言いながら笑うあの顔は、
ーーやはり彼女、興味深いな。ーー
主人公said
刺した包丁をスッと抜き、シンクの中に入れる。手をシンクの中で眺めていると明るい声が聞こえた。
「哀ちゃーん!来たわよー?あらー?だーぁれ?このプリティーな子!」
工藤新一の母、有希子さんが私を見つけなり駆け寄って抱きしめた。
「おい有希子、挨拶もなしにスキンシップは驚くんじゃないか?なぁ?」
更に工藤優作も現れ、その場は随分賑やかになった。
「哀ちゃんが言ってた子って、この子?この子と一緒に新ちゃんに薬を届けたらいいのね?つい昨日発ったからまだまだ楽しめそーねーっ」
有希子さんはとても楽しそうで、優作さんの声はあまり届いていない状態だ。
優作さんは妻がすまないねと私に軽く謝る。その声に有希子さんはなによっと小さく頬を膨らませている。
優作さんは手慣れているのがよく分かるほど、有希子さんを放置して私に話し始める。
「君の事は彼女から聞いているよ。大変だったね。昴くんもそうなんだろう?まだ他に協力してくれる人はいるのかな?」
さすがに優作さんには話すべきか、それとももう少し待った方がいいのか、それにしても話し過ぎればどうなるんだこの世界は。
答えられずに思案していると優作さんは困らせちゃったなとすまなさそうに謝って来た。首を横に振ると優作さんは有希子に行こうと言う。
「はーい!あ、お留守番、よろしくねーっ」
と沖矢さんに明るく話した。
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