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D.World.

第16章 “疎通”








「え、それって…何か悪いことしてるって事?」

「いやいやいやとんでもない。」


手のひらを見せながら顔を横にブンブンと振った。


「今協力を仰ぎに来られるとマズイ。」


その発言を聞いて僕は黒のセダンの事を思い出した。

「ICPOの所有する黒のセダン…」

「!なんだ調べてるのか。」

「…見つけ次第公安で拘束する様にしてある」

「それは最悪。解いて貰わないと困る。」

「なら話してもらおうか。」

「その前に、“革物店には何人で行った?”」

「ボクと安室さんと昴さんの3人だよ。」

「…なるほど。安室さん、もうおろして。」

抱えていたままの腕を叩かれ、降ろすと彼女はコナン君の横に座った。

「…ちゃんと、店から出なかったんだね。」

「?…ああ。」

「よかった。」


柔らかく微笑む彼女の顔は本気で喜んでいる様だった。
だが説明されないままの此方は意味がわからない。

「…あのお店は一体、何なの?」

「あそこは…“セーフティ・ポイント”…
  “安全な場所”だよ。」


また分からないものが増えた。
1つ分かった事があったとしてもその分、
分からないものも増えていく。

『…“出来るだけ説明してみろ”そう話しましたよね?』

コナン君のバッジから沖矢昴の声が聞こえた。

「…リハーサルの会場からベルモットを送り、その後、安室さんには聞かれてしまった。
   “限界点”って言葉。
 あの“限界点”っていうのは、
“今いる事ができる時系列の最終ポイント”
 その最終ポイントを過ぎると私は
  2度とループ出来ない。
…心臓の無い私でも実質死ねるという事だろう

その“限界点”を遡る為にループを何度か繰り返して、“戻った”。

ただ、その時ーー」



「おはよーございまーす!!」

梓さんがポアロのドアを勢いよく開け出社してきた。
ーー滅茶苦茶良いところで出社して来た彼女はさすがと言えるほど空気が読めていないーー

コナン君もこれには俯いて少し肩を振るわせては彼女から聞きたかった発言が聞けなかった事を残念に思っていてため息を吐く様子が見て取れた。


店をオープンにして“普通の日常”が始まる。




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