第1章 手順
主人公said
目が覚めるとすっかり身体は楽になっていたが、知らないベッドにいる事に気付いた。
どのぐらい寝たのか、すっかり明るい状態だ。
枕元を眺めていると、赤井さんに貰った携帯が光る。
ーー着信ーー
「はい。」
『やっと出たか。ホテルには現れてない様だったし、あの後何の連絡も寄越さないからな。心配したぞ。』
ーー心配するんだ?この人。ーー
なんて思っているとおい聞いているのか?と問われる。
「聞いてる。意識が途絶えて今どのくらい経ったのか分からないで困ってる。」
『…どのくらい?お前と別行動になったあの日から』
赤井さんの言葉に嫌な予感がした。まるで古いことのようで
『5日経ってるぞ。』
それを聞いて冷や汗が流れた。急いでその部屋を出る。すぐに博士が目の前に現れて、頼んでいた道具を渡そうとしてくれる。
「博士!ありがとう!キッドは!」
「え?キッドって、怪盗キッドか?何も予告はしていなかったと思うが。」
ーー会わないと、ーー
急いで阿笠博士の家を出ようと出口に走り出そうとすると奥から現れた哀ちゃんに阻止された。
「待って。工藤くんのご両親の事も知っているんでしょ?」
哀ちゃんが私を掴んだ手は微かに震え、瞳が揺れている。
「勇作さんと有希子さん?2人とも有名だし哀ちゃんにも優しい人。守ってくれるから、安心して。」
少し微笑んで哀ちゃんの真剣な表情と力が入る手を緩めて緊張を解ける仕草を示した。
「それなら、コレを工藤くんに届けて欲しいの。ご両親と一緒に。」
と言いながら手渡された袋の中身を見ると、私の中では重要なアイテム、解毒薬だった。
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