第14章 羈絏
沖矢said
「ああ、会ったな。確か……?」
『…沖矢さん…?』
何だ?会ったと分かるのに
いつだったかは思い出せない。
「…すまないボウヤ。いつだったか、思い出せない。」
『沖矢さんもか』
“も”?
……どうやら、余程“頼りない”らしいな…
「…ボウヤ、彼女が最後に行った場所は何処だ?」
『…何をするつもり?…沖矢さん』
「彼女の居所を突き止めます。」
『ダメだッ あの人は
“今は安全な場所に居る”って言った。
それは脅かされれば
“安全じゃなくなる”って事だッ 』
「…。」
『…多分、あの人は“準備”してるんだよ』
準備……そういえば
『色んな道具を集めて、色んな場所に行って』
「…。」
『 “調達してるんだよ” 』
「…ああ。そうだな。今は待とう。」
『うん…分かるから…
沖矢さんの気持ちも、安室さんの気持ちも…』
全く、彼は
降谷said
“調達”?
ーー“安室さんは少しフェア
じゃない位置にいる”ーーー
その台詞はいつ聞いたものだったのか。
「コナン君、僕はまだ彼女について
知らない事が多いらしい。
君の知る範囲を、教えてくれ。」
通話を切った彼はゆっくり話し始めた。
彼女の持つ道具と
彼女が今まで何処へ行ったかなど
まさか、そんな物騒な物まで持っているとは
思っていなくて笑いさえ込み上げてきた
全く税関はなにをやっているんだという怒りも
「…一度も見たことが無い。」
「安室さんには見せないようにしていたんだと思うよ。」
「…そうだな。」
「安室さんは、あの人が
“先の見えた様な行動”を
したところ、見た事ある?」
「…あるな…ただそれは
彼女の“洞察力”の鋭さが無ければ成立しない」
「……ねぇ、安室さん」
話をしていて急にコナン君は
声のトーンを落とした。
「…もしも、自分は覚えているのに
誰も覚えていない事実があるとしたら、
……彼女の心は、痛まないのかな?…」
「どういう…」
「例えば、」
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