• テキストサイズ

D.World.

第14章 羈絏









笑って見せる姿。

せめて彼女がベルモットの後ろに居られるだけ安全か、そう考えた時に彼女の言った“後悔”の一端を見た気がした。





沖矢said


今は止めても無駄だと悟っていた。

此方は乗せて帰らねばならない人数が多い。

公安である彼には任せても問題ないだろう。

ただ、消息が途絶えた間の事と

なぜこの場に来たのかが気になった。

彼女が腕を引いた梓という女性に

会いに来た様に見える。

その場で無闇に問う事もできず、

3人の姿を見送る事しか出来なかった。






安室said


車を進ませ暫くするとベルモットが変装を解きながら口を開く。

なぜ彼女の前で変装を解いたのか分からずにいた。



「…まさか、生きていたとはね。」


観覧車での一件を思い出す。


「そう簡単に死ねないので。」


後ろに乗せた彼女がそれに応えた。


「ジンが貴方の事に興味を持っているわ。」

なに…?

「今度は撃って下さいねとお伝え下さい。」

撃つ?本気か?

「会わせるとは言ってないわよ?」

俺が居ないみたいに話が進んで行く。

「それは嘘でしょう。
  私に興味を持っているのは…」

口元で読まれない様に手で遮り、
ベルモットだけに聞こえるように彼女は囁いて

「何故それをっ」

ベルモットが動揺の色を見せている。

「教えられません。」

彼女は微笑んで

「因みにバーボンは今私が何を言ったか見当も付いていないので、巻き込まないであげて下さいね。」

「…そんな風に言われると疑わしいわ。」

「シルバーブレットとエンジェルは常に貴方の予想を上回りますね。」


威嚇とも取れる彼女の発言に疑問を持った。

ベルモットが僕に言っている事を彼女は知っている?


「手を出したら「どう、するんですか?」

言いかけたベルモットに彼女が食い入る。

「…大丈夫ですよ。私にとって
  彼等は“護る側”なので。」

「…。」

「“貴方も例外ではありません”」


彼女の言葉に
ベルモットは暫く黙ってしまった。


「…私を守ってくれるとでも言うのかしら?」

浅く笑って再びベルモットが話す。

「“人を救う事に理由は要らない”ので」

「…」






.
/ 223ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp