第14章 羈絏
「…っ…はぁっ…はっ……ッ」
後、一歩だった…ッ…
あと、少し………
14章 羈絏
波土禄道が自殺してから
6日が経った頃、
彼女は起きても気絶を繰り返し
何度も
“行ってくる”
そう言って
“ただいま” を
言わなくなった。
ーー7日前ーー
主人公said
既にお気に入りとなったショートブーツを履いて
いつものパーカーとズボンを着て
リュックを背負う。
「どこに行くの?」
阿笠邸の玄関で後ろから哀ちゃんが話しかける。
「散歩!一緒に行く?」
「行かないわ」
あっさり断られ、行ってきますと言うとこちらを向かずに手を振られた。
玄関を潜るとその先は晴天で
とても気持ちが良かった。
阿笠邸を出て、強盗にナイフを向けられた通りを過ぎて
大通りに出る。
一瞬の出来事。
白のRX7が目の前を通り過ぎる。
それを横目に見て手前に止まっている黒のセダンに乗り込む。
運転席の斜め後方に乗ると運転手が話しかける。
「…如何なさいますか?」
「……取り敢えず、
“本部” 」
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