第13章 “× ×”
服を着替えて部屋を出た。
「あら?出かけるの?」
メインフロアに行くと哀ちゃんが声を掛けてきた。
「いや、今から予定を立てる。」
「はぁっ?ここで?」
「そう。ここで。」
「何でよ?巻き込まれたくないわ」
「先生になって欲しい。」
どういう事?と哀ちゃんが首を傾げる。
「私が人タラシだというのが本当か、それとも私は間違ってないのか見極めて欲しい。」
真っ直ぐ見つめると哀ちゃんは頷いてくれた。
まず沖矢さんに通話を繋げる。
スピーカーの状態で。
『はい。どうしました?』
「昨日の事を謝りたくて。本当に、ごめんなさい。」
『…それは私の方も同じなので。すみませんでした。』
「それと、携帯ありがとうございます。」
『それに関しては記帳していますので悪しからず。』
「…あと、もし良ければ出掛けませんか?私が運転しますので。」
『今からですか?』
「昼から、ですね」
『…準備しておきます。』
「ではまた後で。」
通話を切り、一旦哀ちゃんに視線を向ける
「まだなんとも言えないわ。ただ、他の人からすればハードルがやたら低い様に思えたわ。」
「そっか。」
再度通話を繋げる。今度は安室さんの番号だ。
スピーカーにすると呼び出し音が鳴る
哀ちゃんがびっくりして此方を見ている。
『…はい。』
「安室さん?」
『どうしました?』
「突然で申し訳ないんですが、今日の昼くらいから予定は空いていませんか?」
『午前中がポアロなのでそれ以降でなら空いていますよ』
「では、昼過ぎに迎えに行きます。」
『…え?…』
「運転は私がしますので。」
『…分かりました。ではまた後ほど。』
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