第1章 手順
「ああ、それに敵側に行ったらヤバいって自覚もあるみてぇだしな。」
俺と灰原が話し込んでいると彼女が話しかけて来た。
「…コナンくん、ごめん。眠いからソファ貸して。」
どうぞと返事するよりも前にソファに倒れた。
その様子に灰原がゆっくり近付いて首にそっと手を当てた。
「何やってんだ?」
「…死んだように寝たから、この人」
「は?まさか死んだかどうかを確かめたって言うのか?」
「…この世界に突然現れた人間なんだとすれば突然消える事もあり得るんじゃない?それにこの人、生きているかどうか、分からないわよ。」
「何言ってんだ?肺が動いてるじゃねーか。」
すーすーと寝息を立てている彼女を指差し、身体が息と共に動いている事を指摘した。
「…脈がないわ。この人。」
何っ?!急いで駆け寄って首に手を伸ばそうとすると彼女が起き手を掴まれ、身体が浮いたと感じると次の瞬間には目の前に柔らかい感触が2つ、
「…あなた、喜んだりしてないでしょうね?」
後ろから灰原の少し冷たい声が聞こえる。俺は気付けばこの人に抱き枕のように抱き抱えられた状態になっていた。寝ぼけているにしては少し力強いな、顔を動かし彼女の首元から息をして灰原に助けを求めた。
灰原は俺を何とか引き剥がそうと彼女の腕を持ち上げた。
俺がズルリと彼女の腕の中から出ると灰原がある事を思い出した。
「それで、どーするのよ。パスポート」
「あ。」
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