第1章 手順
コナンsaid
「知らないアプリが入ってて、開いたら小説だった。その小説が気になって手放せない。」
真面目に話していた筈の彼女が突然そんな事を言われて灰原ははぁっ?とキレている。俺はその気持ちは分かると思ったが灰原に巻き込まれるのはゴメンだな。黙っとこう。
「とにかく、博士はこの人の言ったもの作ってあげて。」
俺の声に阿笠博士はああと返事をして作業を開始してくれた。
しかし妙な話になったなと思っていると彼女がこちらに向き直り、
「最近何か大きい事あった?」
と聞いて来た。
俺はよくわからないまま
「最近?今日の事なら、ポアロでパフェを食べてた蘭とおっちゃんが苺がどうって話してたら落としてしまって、それを白い猫が遊んでたんだ。そしたらあれよあれよと言う間に来週ロンドンにいく事が決まった。」
はぁぁぁっと深くため息をつき、机に突っ伏した。
「え?大丈夫?」
コナンくんが顔を覗き込んできた。
「時刻じゃない時間をやっと知れた。例えば、命が関わる状況で待ち合わせしているのに時間も分からなかったら焦らないか?そういう緊張の中にずっといたんだ。溶けたくもなる。」
どう言う事だ?と思ったが言われた通りに想像してみると大分息苦しいところにいたことは察しがついた。
灰原もまだ彼女のことを信じ切ってはない様だが、悪い印象はないように見えた。
「なによ」
灰原が急に俺に話しかける。
「おめーも信用し始めててんのかなって思ってな。」
「…完全じゃないわ。それでも彼らの様な殺意は感じないし、信じられないけどこの人、嘘ついてなさそうなのよ。」
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