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D.World.

第12章 “降谷”








紙袋から白いシャツを店員さんが取り出そうとして気付いた。


今から夕食なのにそれは汚したくない。

「…その服はそのままで。持って帰ります。」

「承知しました。」

綺麗に袋の中に戻して貰ったが、上着としての物だったのだろう

私のトップスは紺色のリブニットタンクトップ

ボトムスは黒のフレアスカート。スリットが入っていて

動き易い上に内側がキュロットになっている。

ただ、このままでは肩が寒いなと思って自分の肩を撫でると

店員さんが黒いシフォンストールを肩に乗せてくれた。

「ありがとうございます。」

「お客様に頼まれましたので。」

「?」


安室さんが?…少し違う気がする。

フィッティングルームから出されると席に案内される。

途中、手をひらひらと振っている人が目に入った。

園子ちゃんだ。

ストールを軽くつまんで口パクでありがとうと言うと

親指を立ててウインクしてきた。

こんなおしゃれな店でそんな事をするのは彼女以外居ないだろうな。





席に座ると目の前の安室さんがワックスを付けているのか

片耳を出し、髪が耳にかかってサイドから後ろへ

そのまま流す様に整えている。

トップもエアリー感があって

「…かっこいい。」

ただそう思った事が溢れただけなのに一瞬驚かれて

少し頬の辺りが赤くなった。


「ふっ…今度は可愛く見える。」

「!…」


肩に掛かった髪を避けようと手を動かしながら見ていたせいで

顎を少し上に向けて見下ろす様な視線を送ってしまった。

ただ本心しか話していない為訂正も出来ずにいると

その内料理が運ばれてきて、静かにゆっくりこの日の夕食をとった。




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