• テキストサイズ

D.World.

第12章 “降谷”









外に出ると辺りはすっかり暗くなっていた。

「少し早いですが、夕飯にしましょうか」

車に乗ると安室さんは運転せずに何処かへ電話をしている。

少し待って「予約が取れたので行きましょう」というと運転を始めた。

何処に行くのか分からず、窓の枠に頬杖をついてただ外を見ていると安室さんが口を開いた。


「“あの時”は不審だったんです。それが不思議に変わって…」


何を言われるか今までの流れから想像するのは容易く

「それ以上喋ったら次の停車か停止で車を降ります。」

右手の人差し指で安室さんの唇に軽く触れると

“やられっぱなし”という感覚が無くなって思わず微笑んでしまった。


「…まったく、何処でそれ覚えたんですか?以前もされた記憶が有りますが。」

「んー、どこのいつでダレだったかなー。ワスレタナー。」

「誰とは聞いていません。」

「ドーダッタカナー」


適当にはぐらかしている間に“いかにも”な雰囲気のある

お店に着いた。店内に少し目をやるとフレンチのディナーが

各テーブルに運ばれているのがわかる。

「?…ドレスコード無視?」

自分の服装を両手広げて見せて問うと大丈夫ですよと優しく頭を撫でられる。

車から降りて店内に入ると直ぐ彼女をお願いしますと言われ

安室さんは店員に紙袋を手渡した。

何が起きているのか分からずただ女性店員に服を着替えさせられ

髪を触られ、軽くメイクをされる。

鏡に映る自分がみるみる変化して入った事の無かった店の

システムに軽くテンションが上がった。


「靴は購入されていますので、お帰りの際はそのままで大丈夫ですよ。」


「え?はい。…?」


今この人“靴は購入されていますので”って言った?

というか、その感じだと

靴のサイズ測ってた時点から此処に連れて来る気で居たな?


スマート過ぎる



.
/ 223ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp