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D.World.

第12章 “降谷”








長電話とは何分からだったかと、どうでもいい事が頭を過ぎる。

長電話というより半分は無言電話だが。


服を着替えてメインフロアに向かうと哀ちゃんがいた。


「あら、出掛けるの?」

「昼前に出掛ける。」

「へぇ?そう。」


ニヤニヤしながら此方を見ている。

何かに勘付いている様子で居たたまれなくなり、哀ちゃんの手元に目を写した。

「何読んでたの?」

「雑誌よ。貴方も少しは色味のある服を選べば良いのにね。」

「見る専門でいいよ。」

「…宝の持ち腐れね。」


そんな良いものでは無いだろう。人より小柄で、昨日だって安室さんに抱えられた時にーーーー



ゴンッ

「何やってるのよ?!」


思い出した感覚を消し去ろうとテーブルの角で頭を打ちつけた。

「…トラベラー特有の立ちくらみです」

「どう見ても自分から持って行ってたわ」


そして間髪入れない哀ちゃんのツッコミを受け流す。


「黒色以外、興味無いよ。」

「組織みたいでやめて欲しいのよ。真逆の白でも着てみなさい。」


正直白なんて嫌だと思った。遠目からでも分かりやすくて汚したら一瞬で。


「…考えて見るけど約束は出来ないかな。」


哀ちゃんの服装を見て眺めてるだけで充分ですからと言い訳を胸の内側で片付ける。

一緒に雑誌を眺めながらふと考える


ーーローファー、良いかも。でも女性的な丸いフォルムじゃなくて…ーーー


「はかs「待ちなさい。」


哀ちゃんに腕を掴まれた。

「出掛けるなら偶には、自分で探してみなさい。」


ーー面倒なーーー


「…顔に書いてるわよ。面倒だって」

思いの外、本当に顔に出てしまったのだろう。当てられてしまった。


「この間、貴方がカバンを買ったお店で聞いてみると良いわ。」

「確かに。あそこなら良いかも。」

「ほら、そろそろ向かった方がいいんじゃない?」

「ん。いってきます」

促されるまま時計を確認すると今阿笠邸を出れば丁度いいくらいの時間だった。




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