第12章 “降谷”
赤井さんとギクシャクしたままは嫌だな。
それにバングルを改造した結果いつでも場所が分かるようになっている。
言い訳は通用しないだろう。
とりあえず、赤井さん宛にメッセージを綴った。
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おはようございます。
あれから考えていたんですが貴方とギクシャクしたままというのは嫌なので、昨日の事を謝らさせてください。
本当に、ごめんなさい。
ただ私は、私の出来る事に対して奥手でいる事は出来ません。
止められても、同じ事をします。
それが例え自分の負担になろうと、何度でも。
それと、今日出掛けます。
何かあれば、頼りますね。
ーーーーー
書き終えて送信すると、そのまま安室さんに通話を繋げた。
『…どう、しました…?』
ーーなんだ?息が荒いようなーーー
というか、番号知らなくてもこの番号が私からだと分かるのはそれだけ人に教えないからだろうなと彼に感心する。
「すみません、お忙しかったですか?」
『いえ。トレーニングをしていたもので。』
流石に朝から“お忙しかったですか?”は可笑しいと思ったが、この人なら有り得た。
そもそも、そうだよな。この人は忙しい人だ。
突然予定空いていませんかって聞いて今日空いてなんかいないだろう。
「…やっぱり、別の機会にします。お邪魔してしまってごめんなさい。」
『待って!』
「!」
突然声を荒げられ、相手が見えないこちら側では初動が見えなくて吃驚してしまう。
『…』
「…」
『…』
ーーえっ?呼び止めておいて無言?まだ息整えてる?ーー
「あの…?」
『…』
いつもなら彼の本名を呼んでいるが、呼ばない方が無難だろう。
「…安室さん?」
『…』
ーーえ?居るよね?ーー
段々不安になってきた。電話口で安否確認しなきゃなんないのか?何で?
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