第11章 “赤井”
その直後、沖矢さんの携帯が鳴る。
一旦私を掴んだ手を離し、携帯に目をやると明日ボウヤが2人を連れて掃除に来るそうですと告げた。
私は、その話を聞いて現実に戻される。
ーー裏切りのステージかーーー
「…居候の立場で申し訳ないのですが、この場には居られない。阿笠邸で用があると言っていたと適当にお願いします。」
「…何か聞いておく事は有りませんか」
「無い。」
ーー彼の意思を刈り取る資格は私には無いーー
「服、ありがとう。」
受け取った服を持って工藤邸を出て阿笠邸に入る。博士に裁縫キットを借りて自分が考えていた作業を始めた。
どのくらい経ったのか、作業を終え顔を上げると哀ちゃんが側で座っていた。
聞きたかったのかなと思うが、彼女はもう寝ていた。
起こさないようにブランケットをかけて朝いた部屋に戻った。
服をコンパクトに纏めてリュックに入れてベッドに入る。
何かを変えるとか、不可能かもしれないが
変わらず生きていて欲しい人がいると思う気持ちも強く
感じながら、目を閉じる。
翌朝、差出人不明の私宛の荷物が届いた。
11章(赤井ルート)🔚
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