第11章 “赤井”
「RC-Fだったか?」
「強盗の逃走車?」
「ああ。乗り心地はどうだった?」
「まじで、あれは最っ高!」
「ボウヤは降谷くんが哀れに見えたそうだ」
「それは仕方ないね。」
運転している沖矢さんを見ると会話を楽しんでいる様で笑っている。
「でも、」
「ん?」
「犯人が発砲してなかったら撒いてたよ」
笑って話すと沖矢さんの手が渡しに頭をわしゃわしゃと撫でた。
ーーなんか、こういうのは大事な人間にしかしないよなって実感させられるーーー
「着きましたよ。」
あまり遠くに出掛けた気はしなかったがデパートの地下駐車に入って行く。
「…?何買うの?」
「…貴方に服を。」
私の行動を見せた事があったかどうかを考える。例え見ていなかったとしても道具は見せてるからな、活発だという事は察しているだろう。
「…。」
「!」
車を降りて駐車場の中から店舗に入る時、不意に沖矢さんに手を繋がれた。
びっくりして一瞬身体が跳ねる。
一方沖矢さんは涼しい顔をしていた。
手を引かれるままその後を付いて行く。
ーー歳の離れた兄妹に見られそうだ。ーー
「…?」
なんだ?
どういうふうに見られたいからそんな事を思ったんだ?
「…。」
沖矢さんが気になる服を取って私の前に持ってきて合わせる。
何も言わないのが気になるが、反抗しても無意味だろう大人しくされるままで居る。
1つ目に取ったのが
深い赤色のドレープフロントタンクトップ…肩が出るのが嫌だなと思ったが上着を着れば大丈夫と考えた。
2つ目が
黒のハイスプリットスカート…内側がキュロットになっていて外側にはアシンメトリーでプリーツが細く入っている。スリットは紐が交差していた。
ーーこのロング丈の両端に穴開けたら動きやすくなりそう…ーーー
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