第9章 贖罪
工藤邸を出て阿笠博士の家に入る。
「おお、もう直ぐ出来るからの。」
阿笠博士にお礼を言い、哀ちゃんの側に近づいた。
やっぱり、まだ怒ってるな。
「…悪かった。1人で行動して。」
「…。」
「私は、1人になりたかった。色んな時間を超えた所為で寝ていない様な感覚で。常に誰かと関わって頭の中を整理出来なくて、自分の限界を感じた。」
哀ちゃんは黙ったまま、ただ私の話を聞いているようだった。
バーボンの家に匿われていた、と言えたらこの話は楽に終わらせる事が出来るだろう。
だがそれは彼が完全に哀ちゃんの中で敵に回る気がした。
黙っている間に、どう話そうか考えてたら哀ちゃんが口を開いた。
「私の姉は殺された。」
知ってる。そう思ったが今は黙った。
「誰かが死ぬのを見たくないのよ」
「…私も。同じ。だからこそ
逃げない。私にしか出来ない事から」
「……何故自分を撃ったの」
「ごめん。答えられない。」
「覚えてはいるのね。」
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