第9章 贖罪
「捕まえた後にその場から移動したのに降谷さんが来てしまって。追跡アプリはやっぱり入れられたんだなって思ったから壊して、1人になりたかったから逃げたんだけど、」
「…。」
「その場でお礼だけは言った方が良かったなって思ってて。」
赤井said
それはそうだろうな。
意識の無い女性をその場に放置して去れるような男じゃないだろ彼は。
一時的かどうかも分からない状態なら尚更。
「…分かった。だが俺もついて行く。」
話を逸らされた事は本人の了承無く
“貯蓄”する事にした。
主人公said
過保護に拍車が掛かってしまった事を後悔する。
「博士の追跡装置がついてるバングルを持っていくんで、沖矢さんは哀ちゃんの警護を…」
言いかけて沖矢さんに腕を掴まれる。
「言っただろ。離さない。」
ーーそういうの、本気の人だけにしなよ。宮野明美とか宮野志保とかジョディとかーー
思った事を言えずに俯いてため息を吐き出した。
「…せめて米花町内くらいは自由に動ける様になりたい。」
数分沈黙が流れて赤井さんは考えている素振りを見せた。
「……分かった。バングルを受け取ったら追跡装置を必ず作動させろ。装置を起動したら2時間以内に帰って来い。超えれば迎えに行く。これ以上の譲歩は無い。」
ーーああ、この人は解ってる。私が1人になりたかった理由を。ーー
「…“今は”それでいい。
博士のところで受け取ってくる。」
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