第9章 贖罪
赤井said
…何か考えているな。珍しく顔に出ている。
身体を蹴られた時は1ミリも気にされていないのかと思ったが、この感じを眺めているとそうでは無いんだなと思える。
「…身体の脈があろうと無かろうと、其れが結局お前なら俺は愛せるんだが。お前は、俺が2人に見え、そのどちらもを愛せる程器用なのか?」
主人公said
……それは、有名な台詞に似せた発言で
知ってるからこそ面白くなってしまった。
「赤井さんにそんなふうに言われると、自分が2人いる様に言われている気がして変な気がする。
好きになった人が、2人で1人だったら気にせず2人を同時に愛せる程器用な“男”だろうな。」
赤井said
笑いながら答えた彼女に、過去の俺の発言を知っていたという雰囲気で答えられ確信する。
「…お前…知っていたな?」
彼女が“男”と言葉に挟んで言ったのは態とだ。
ジョディに言った言葉
“2人の女を同時に愛せる程、器用な性分じゃないんでね”
今そこで“男”と言ったのは俺を指し示す言葉。
つまり、彼女は俺の過去を知っていて
揶揄った事になる。
「…いい度胸だ。」
「!」
主人公said
赤井さんの目が開いて妖しく光って見える。
マズイ。
この状況を打破しないと
「…降谷零の自宅で保護されていたと送ったんですが、覚えています?」
ピクリと動いた沖矢さんの身体が止まった。
取り敢えず安心だな。
今はこの話で乗り切ろう。
「気絶してしまって文字通り“保護”された。
でも支給された携帯に追跡のアプリを入れられていて。気付いたけど確信に変わるまでは取り敢えず持ったまま行動した。」
「…。」
「ここに戻る途中、逃走車両を追う白バイが横転して追跡できそうに無いなって思ったら身体が動いてた。」
「…。」
.