第9章 贖罪
「…痛い。沖矢さん」
「!」
顔が見える位置まで身体を話すと彼女は笑って“ただいま”と言った。
何も言うことが出来ず
話す気にもならず
ただ“痛い”と言った彼女をもう一度同じ力で抱き締めた。
主人公said
「…あ。哀ちゃん。」
顔を横に向け手の平を見せると硬直したままだった哀ちゃんが私のその手を掴んだ。
「…すぐ…心配っさせるし…」
哀ちゃんの握った手がぷるぷると震えている。
「怒っても…懲りないし…」
「通信も勝手に切っちゃうし…」
「何の連絡もっ取れなくなるし…」
「…いつの間にか脈がある身体で戻って来たと思ったら」
「目の前で…」
「…っ…もういい加減にして!」
そう言い放つと私の腕からバングルを引き剥がした。
「博士に追跡装置を埋め込んで貰う!通信も勝手に切れない様にするんだから!」
怒ったまま出ていってしまった。
これは、後でちゃんと謝らないとな。
常に居場所が分かってしまうのが嫌で追跡装置は付けずにいてもらった事が哀ちゃんの限界値を突破したんだろうな。
でも、久しぶりに1人になれた時間は有意義だった。
.