第8章 “痕跡”
夕方から夜に差し掛かる間に部屋を出られて良かったと考えながら歩いたが大通りから工藤邸への住宅街へ曲がる時、後方から白バイのサイレンと停止を促す発言が聞こえた直後、
相手の普通車は白バイに態とぶつかり少し前方で白バイを横転させた。
バングルから発信機を取り出し通話を繋げる。
「どうしたの?」
哀ちゃんの声が聞こえた。
「白バイ隊員を負傷させた犯人を追う」
これだけ伝えると発信機をバングルに戻し通話を切って
白バイに近付きヘルメットを被る。
横たわった白バイの椅子の根元に
地面に付けたワイヤーを一旦潜らせ
テコの原理で起こさせると
そのまま乗り、アクセルを踏み込んだ。
ギアを変える瞬間が何とも心地良い。
流石特殊車両。
暫く後を追いながら少し距離を取ると
犯人の逃走車両は工事現場に停まった。
気付いていないと思わせるために態と
向かいの駐車場に入る。
立体駐車場を5階まで登り
アンクレットから短剣を取り出すと
壁の代わりになっている太い針金を切った。
短剣を戻しバイクをふかす。
急発進させた白バイは遮る物が無くなった
立体駐車場から飛び出して
犯人の逃走車両、フロントガラスに直撃。
そのままシートとバイクに犯人は挟まれ
衝撃もあってか、伸びている。
ワイヤーを使ってバイクから離脱した私は
犯人が動けない事を諭し、一旦その場を離れた。
携帯を取り出してコナンくんに通話を繋げる。
「お願いがあるんだけど。」
「嫌な予感しかしねーな?」
.