第6章 チュートリアル2………**
この目の前の状況に
動揺する様子も 全く臆する様子もなく
淡々とした営業口調で山本運輸の配達員が
こちらに向かって行って来て
『こちらの受領書の方に
サインか印鑑を…お願いします。
今月より、山本運輸の方も
他の運送会社各社様と同様に、
商品到着時の立会い確認の方を…
始めておりまして……』
山本運輸の配達員が言うには
自分が持っているこの段ボールの中にも
お姫様ステッキが入っていると言う事らしく
そう言う大人のオモチャとかって
中身が分からない様にして
梱包して発送してくれるんじゃないの――?
って思ってしまったのだが…
そうだそうだった
ここは現実世界じゃなくて
あの…羊の執事のメリーが作った
シナリオの世界なのだから
場所が自分の部屋なだけに
現実と混同してしまいそうだが
これは…現実とは似て非なる物…なのだから
その辺りは…全て…
ご都合主義…になっているのだろうけど…
『でも…、
丁度良かったです、助かりました。
お断りされてしまったらこっちも
どうしようかと思ってたんですよ~。
丁度、…咲川さんと
商品確認されてる所で良かったです』
いいタイミングで来れましたとでも言いたげに
笑顔で山本運輸の配達員が言って来て
実際に 今 …私は…
咲川さんとそれをしていた手前
咲川急便は良くて
山本運輸はダメです…
何て事は
自分の性格上…もあって
山本運輸にお断りを言えるはずも…無くて
「はい…、山本…さん、お願い…しま…す…」