第1章 きっかけと言う名の始まりの夜
「はぁ…、何だか…思い出せば
思い出すほど、虚しくなる…ばっかり…だな。
お酒…不味く、なりそう…だよ」
いろははそのままずるずると
自分の体勢を崩して行くと
自分の顎をテーブルに乗せる様にして付いた
そのテーブルに乗せた顎を
テーブルに押し付けたり話したりしながら
口を空けたり閉めたりとして
再びはぁ~っと いろははため息を付いた
ある事を思い立って いろはが
ゴソゴソと片手をバックの中に伸ばすと
自分のスマートフォンを取り出す
「せめて…、生身の男は…懲り懲りでも…。
偽物の男にでも…、慰めて貰おうかな?
このまま放置してたら、
私のそこも、乾いた大地になりそうだし?
穴も…蜘蛛の巣…が張るどころか。
今の、感じだと、その内閉じそうだもん」
そう言って 大手ネット通販サイトの
マイページを開いて…
お1人で楽しめる大人のオモチャの
ページを色々と物色しつつ
新しい缶のハイボールの缶を空けて
それをチビチビと飲みながら
商品ページから商品ページを梯子して
「しばらく…、あっちは
ご無沙汰もご無沙汰だし…なぁ…
中に…挿れるのはなぁ~…」
ちょっと抵抗あるなと思って
振動するのを押し当てるタイプの
オモチャを見ていて
「やっぱり…吸うのが…良いのかな?」