第16章 行くべき場所へ……
『そうで…すか…、
そう…でありますね…。
私に…、誰かを重ねたりは…、
姫様は…いえ、いろは…様は…
なされない…のでありますね…』
「メリー…?」
『いいえ、何でも御座いません。
今、私が言った事は…お忘れを…』
そのまま…メリーは…
何も言わなくなってしまって
それで…何となくだけど…
メリーの前の…姫様は…メリーを
自分の好きな誰かに似せて
メリーの容姿をキャラメイクをして
メリーにその自分が好きな人の様に
振舞わせてたのかなって
メリーから…感じる…
心の闇…みたいなの…は
誰かの代りとしてしか見られない…
必要とされない…自分に
価値が無い様な…
そんな風に…思ってる…じゃないかなって…
だから…自分を…無価値…な執事だって
無能な執事だって…
自分の事をメリーは皮肉ぽく…言うのかなって
メリーの身体に
自分の腕をいろはが回して
メリーの身体を抱きしめようとするが
華奢そうに見えるけど…こうすると
メリーはしっかり男性らしい感じで
自分との体格差を感じてしまうのだけども
逆に…こっちの後頭部に…
手を添えられてしまって
ぎゅっと…メリーに抱きしめられてしまう