第5章 次の日…の朝
「こう…?」
メリーの言葉に言われるままに
いろはが小さな太陽を乗せている両手を
天に向かって掲げると
フワッと…自分の手の平の上から太陽が
真っすぐに天に向かって
浮かび上がると そのまま昇って行くのが見えて
私の手の上にあった時は
ブロンズ製の作り物って感じの質感だったのに
今 私の頭上から
この世界その物を照らしている太陽は
私がいつも過ごしている世界にある…
あの太陽の姿…その物…になっていて
「……何だか…、
ポカポカする…、暖かい…」
『ええ、姫様が…太陽のオブジェクトを
設置されましたので。
この虚無の世界に、温度と言う概念が
生まれた証拠にあります。
太陽と月はセット、
一対のオブジェクトに御座いますから
こちらの月のオブジェクトを設置する事で、
姫様の世界に”時間”の概念が生まれます…。
では…姫様、メリーがこの世界の反対側に
月を設置して参りますので。
少々お時間を頂戴致しますが。
姫様は…私がここを留守にしております、
その間に…、ステッキに
魔力の補充を…お願い致しますね』
ステッキに魔力の補充をして置く様にと
メリーに宿題を出されてしまって
メリーは月のオブジェクトを設置する為に
この世界の反対側へと行ってしまったのだが
ぽつん……と
空と太陽と私の部屋しか無い場所に
いろははひとり残されてしまった