第15章 執事の建前と嫉妬と焦燥
『ですが…、姫様。
ある意味…捉えようによれば、
この状況は、好都合に御座います。
その方法はどうであったにしても。
ここまで…強力な下の印を…
薄くしてあるのなら…ば。後は…、
私程度の魔力しかない術者でも…
誤魔化す程度には、
どうにかできるかも…知れませんね。
申し訳ありません、姫様。今しばらく失礼を』
そうメリーが言って来て
ボスッとデイベッドの上に
そのまま身体を押し倒されてしまって
下からメリーを見上げる構図になっていた
「メッ…、メリ――?
下にある術を誤魔化すって
ねぇ、今から…、…何する…つもりなの…?」
メリーにでも…どうにか出来るって…何?
何を…メリーは…どうする…つもり…なの?
まさか…メリーも…ミナトさんがしたみたいに
印の上…に
自分の精液…塗り付けて来る…とか??
いやいやいや 待って待って
「メリ――?待ってッ待って…、
何っ、何するつもりなのッ??」
今からしようとしている行動の
言葉での説明を求めてはみたのだが
メリーから言葉での返答は返って来なくて
フッと…メリーが口の端を曲げて
僅かに笑うのが…いろはには見えて
その整った端正な顔が近付いて来るのが見えた
『後…、姫様がお気に掛けておられました。
その…ミナトと言う名の…
淫魔のセラピストの件に御座いますが…。
姫様の…魔力の影響が…副作用として
しっかりと出ておいでの様にありますが?』