第15章 執事の建前と嫉妬と焦燥
メリーが言うには
魔力と言うのはそのまま行使するよりも
何らかの媒体があった方が
コントロールがしやすくなるらしく
魔法使いが魔法の杖を持っていたり
それで殴った方が良いんじゃないかって程の
分厚い分厚い魔導書を常に持っているのは
その為なのだそうだ
いろはが先ほどのシナリオの中で
叶人に残された痕を服の
上から指で押さえると…鈍い痛みを感じる
あの…痕の上に…彼が…その色を
薄める様にして塗り付けて来た…
ミナトさんの…精液の事を…思い出して居て
あの…時の…あのミナトさんの行動に
そんな意味があった…なんて…
知らなかったんだけど
ミナトさんが…この術の媒体にしたのは
あの時…に出した…精液だって事に
メリーの説明を聞いて
すぐに気が付いて…は…居たけど
気が付いた…までは良かったんだけども
目の前に居る…メリーに…それを伝える事を
言うに言えずに躊躇ってしまって…
結局…メリーにはそれを
いろはは伝えられないままに居た
『だがこれでは…、
まだ不十分に御座いますね。
下の印の方が…、
上の術よりも強魔力があるので
この重ねてある術だけでは…、
下の印を隠し切れてない…』