第14章 貴方だけの特別なショートコース……***
「あっ、すいません。
良いんですッ…それは…。
その…ミナトさん…この後も予約があると
下でお聞きしたので。コースを
施術の90分じゃなくて、デートコースの
90分にコースを変更して貰ったんです…ッ」
『え?それ本当?わぁ~、嬉しいなぁ~』
そうした事を何故か目の前の叶人さんに
喜ばれてしまっていて
ミナトさんの負担にならない様にって
そう思ってコースを変更したのに?
何でそれを…この人が喜ぶんだろうって
その喜びようをいろはは
不思議に思って居たのだが
クスクスっと 叶人が自分の人差し指を
自分の唇に添える様にして当てると
声を立てながら嬉しそうに笑っていて
こちらにその少したれ目になった
目を向けて来ると
その目が…糸目になって
ふにゃとした笑顔に変わる
「どうして…、
叶人さんが…それを喜ぶんですか?」
『ねぇ、君はさ。僕の事…”知りたい?”
教えてあげる…ね?ミナトが戻って来るまで。
今から…さ。いろはちゃんに、
僕と…僕の相棒のセトの事…秘密…だよ?』
ぐらッと…脳貧血を起こした様に
自分の頭の中の脳が回った様な…
眩暈にも似た…感覚を憶えて
思わず…指先から力が抜けてしまって
カップをいろはが
その手から落としそうになったのを
いろはの指ごと…手の上から
叶人が下から支える様にして手を添えて来て
不意に触れてしまったその手に
どきどきとしてしまって居た