第13章 メイド服を着た姫様と世界樹
『いいえ、姫様。
こちらは種も仕掛けも御座いませんので。
マジックでもましてや
イリュージョンでもございません。
これが、アイテム”フィッテングルーム”の
ご使用方法に御座います。
姫様のお手を煩わせず。
お召し替えに、メイドの手を使わずとも。
私が姫様のお召し替えをお手伝いできる
執事道具のアイテムに御座います。
では。姫様…そちらの方に
お座り頂けますでしょうか?』
そう言って メリーが
何もないだだっ広い草原の上に
これまたアンティーク調の
丸い大きな鏡の付いたドレッサーを用意すると
いろはにその椅子に腰かける様に促して来る
あのさっきのクローゼットにもなる
小さなフィッテングルームも
今 私の目の前にあるこのドレッサーも
部屋に置いてある天蓋付きのベッドも
全部統一感のあるイメージの
アンティーク調の家具だから
確かに中世ヨーロッパの様な
お城とか洋風のお屋敷に
置くのがピッタリな感じの家具だな~と
そんな事を考えながら
そのドレッサーの前にいろはが座ると
後ろに控えていたメリーに声を掛ける
「メリー、座ったよ?これでいいの?」
『では…、姫様。御髪を…失礼致します』
おぐしと言われて…一瞬
串が何と思ってしまったのだが…
メリーの手が簡単にくるりんぱで束ねただけの
私の髪のゴムを解いて来て
丁寧にメリーに髪にブラッシングをされてしまう