第12章 強制終了と執事の見る夢とメリーの嘘
『まだこの様な、時間にございますが。
もう、本日はご就寝…なさるおつもりに
あられるのですか?姫様…』
「うん、だって…お家の用事も…
全部済ませちゃったし…、
特にする事も無いらしいし、
だったら、偶には早く寝ようかなって」
でも…こんな風に…
寝る前の時間に何気ない会話を
交わす相手…なんて
この家に居てくれなかったし
同棲してる彼氏と言うよりは…
もぞもぞと いろはが
自分のベッドに潜り込んで
足元の布団を引き上げて身体に被せる
「何かさ、メリーってさ…。
私の、お母さんみたい…」
『……私は、母親ではなく、
執事に御座いますよ?姫様。
それでは、ごゆっくりと
おやすみ下さいませ。姫様。
また、明日…の朝になりましたら
お迎えに上がらせて頂きます』
こんな風に…おやすみなさいって
挨拶をする相手なんて…
居なかったしなって
「うん、おやすみ…メリー…」
『もし…宜しければ…。メリーが
姫様がおやすみになれますように、
寝物語でも…致しましょうか?』
「も~、大丈夫だってば。
ひとりでも…ちゃんと寝れるよ?
子供じゃないんだから…ッ…」
でも…いいなって思った…
1人暮らしだからこんな風に…
眠る時はいつもひとりだから
おやすみなさいを…
言ってくれる相手が居るって
いいなってそんな風に感じながら
いろはは眠りに落ちて行った
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