第12章 強制終了と執事の見る夢とメリーの嘘
「ねぇねぇ、メリー。
お庭のバラさ、何色が良いと思う?
今は色んな色のバラだけど、
この編集画面で加工したらさ、
バラの色をね、一色にしたりとかも出来るよ」
自分がそんな機能を教えた訳じゃないが
姫様の世界の解像度と
その創造のお力が各段に
レベルアップしている様だった
自分が座って作業をしている傍らの
アンティーク調のテーブルの上に置かれていた
魔法のステッキがこれだけの庭を創った後でも
ステッキの形状のままを保っていて
さっきよりは大人しくなったが
まだキラキラと光ってるのが分かる
『姫様、魔法のステッキのお姿が…、
また進化なさったのでありますか?』
「そうなんだよ、レベルアップしてるんだよ?
凄いでしょ?ハートの宝石が大きくなったし、
それにキラキラが凄いよね?この辺りの
細工も凄い精巧な感じで、ゴージャスになってるし…。
多分、さっきのシナリオを
メリーが選んでくれたお陰だよ?
選んでくれたシナリオが、
あのシナリオじゃなかったら。
きっとこうなってなかったから、
あ、そうだメリー、聞きたいんだけどね…?」
ちょっと聞きたい事があると
いろはがメリーにそう言って来て
言って来た内容と言うのは
シナリオの中の人物にLINEが出来るかとか
お礼を言う方法があるかという事で
『姫様…お言葉に御座いますが…、
姫様はとんでもない事を…
既にしてしまって居るかも知れません。
いや、あそこは…白の世界ですから、
姫様の干渉が…そこまで
届くか届かないか…なのですが…』