第12章 強制終了と執事の見る夢とメリーの嘘
いろは様が… この姫様が…
私に与えて下さっているのは
絶対的な支配ではない…
明確な主従関係ではない
支配する事を…
私有する事すらも…拒む様な
その権利を手放す様な…
対等であろうとする物で
本来あるべきはずの 主従関係を取り払う様な
あり得ては…ならない事…なのに…
私の…姫様は…
この世界と私に…それを命じられた
この世界に置いて…姫様は絶対なのだから
姫様がそう…お望みになれば…
それが世界になる…
そして…この…私の…姫様は…
何の迷いも躊躇いもなくに…
それをお選びになられた
それを…この世界の理になさってしまわれた
この世界は姫様の
いろは様の世界なのだから
彼女は…姫様はこの世界の中心…絶対の存在
その…絶対の存在が…絶対を…否定なされた…
私を…所有…する…のではなく
個として…存在させて…しまわれる…のか…貴方は…
『姫様…。貴方は……
それで…構わないのでありますか?
貴方様は私の主に御座います、所有物に…
その様な、気遣いは不要…にあります』
「気を遣うなってこと?それこそ…メリー、
貴方にだって同じ事だよ?気を遣わない…様な
強引なふりをして…、何に気を遣ってたの?
私が、貴方の主だから…
以上の気遣いをしてたでしょ?」
しぃ――とメリーが人差し指を立てて
こっちに静かにする様にと促して来る
『しっ、姫様。お静かに…。
”聞かれて”おりますから』