第12章 強制終了と執事の見る夢とメリーの嘘
『……姫様…、私は…その様に…
姫様にお気に掛けて頂けるような…、
そんな…存在では…ありません…。
私は…無能な執事…、出来損ない…なのです。
ですから、…その様な…お言葉も
お気遣いも…、私には不要に御座います』
「メリー…ッ」
そのメリーの言葉はどこか拒否的で事務的だった
こっちにそれ以上の詮索をさせない
そんな意味合いもあるし…
私を…それ以上…自分に近づけさせない様な
そんな感じの意味合いもある…
「まぁ、出会ってすぐの相手を
信用しなさいって言われる方が、
私だって嫌だもん。メリーが言いたい事は
ちゃんと分かってる…つもりだよ?
お節介で、厚かましいこと、
言っちゃったりしてごめんね?
何も…知りもしない相手に、
そんな事言われても迷惑だもんね、
そう言うの…止めるから…気にしないで」
『ですが…、姫様…。
あくまでも、私は貴方様の執事に御座います。
決して…いろは様。貴方と…、姫様と、私は
”対等”にあって良い物では御座いません』
「それは、世間様の
ご意見とか一般常識でしょ?
メリーが私に言ったんだよ?
ここは私の世界だって。
他所の世界の常識の話を、
私の世界でしないで。
ここは私の世界で、貴方が私の執事なら。
それをどうしようが、
私の自由なんでしょ?違った?」
『…………いえ、
仰る通りに…御座います…姫様。
全ては、いろは様、
貴方のお心のままに御座います』
貴方は…私の執事…でしょう?なんて…言葉…
聞くだけで…嫌悪感に包まれそうだったのに…
どうして…だろうな…同じ言葉なのに…
こうも…違って…自分の中に響いて広がる