第12章 強制終了と執事の見る夢とメリーの嘘
「まぁ、メリーからしたらさ。
何も知らないくせに、
知った様な事を言うなって
言いたくなる気持ちもね。
分かってるんだけどさ?
ねぇ、メリー…私…で、申し訳ないなって、
そう思うんだよ?
メリーが…本当に仕えたいって
そう思ってるのは…別の誰かなんだろうなって。
でも…、今は…まだ駆け出しだけどね?
ちゃんと、私も…頑張るから…さ、
いつか…、いつになるかわからないけど…
メリーが…私の執事してて良かったって、
そう思える様に…、なれたら…いいんだけど…ッ」
するっと…こっちの身体を強すぎる力で
抱き締めていたその腕の力が抜けると
ずしっとした重みが身体に掛かって来て
メリーに上から圧し掛かられたままで
ベッドとメリーの間に…
サンドイッチになっていて
こっちは…自分の身体も
満足に…動かせないで居る
これ…どうしたらいいんだろう?私
すぅ…すぅ…と穏やかな寝息を立てている
メリーの頭に手を伸ばすと
よしよしとメリーのその頭を撫でてやった
でも…今のメリーは…私の知ってるメリーだって
それはいろはにも…分かったので…安心した
『……ん、…いろは…様…ッ』
「メリー…、一緒に、頑張ろう…ね…」
私にその…メリーの姫様の代りに…
なれるかどうか…分からないけど…
メリーがちょっとスパルタな感じ…に
私に色々と口煩く言って来るのも…
もしかしたら…
過去の何か…が…原因なのかなって
メリーの閉じた目から
スッと一筋の涙が頬を伝い落ちて来て
いろはがその1粒の涙を自分の指で拭った