第12章 強制終了と執事の見る夢とメリーの嘘
グイっとその男性にしては線の細い
メリーの華奢に見える腕のどこに
そんな力があるのかと思いたくなる様な力で
身体をベッドの中に引き込まれてしまって
「きゃぁっ!ちょ…っと、メリィ?
メリーってば、ちょっと?
ねぇって、寝ぼけてるのッ?放してってばッ!
メリー?ちょっと、メリィ――?んんっ」
ぎゅうううっとメリーに
こっちの肋骨が折れるんじゃないかって
そんな勢いの力で抱きしめられてしまって
こっちが逃れようと身じろぐ程に強く強く
その腕に…抱きしめられてしまう…
「ちょっ、メリィ――?
ねぇ、起きたの?起きてるの?
身体ッ、離してっ、メリー?
…っ、苦しい…っし、折れるからッ」
『姫様…、どうか…、お許しを。
ちゃんと…執事としての
務めを果たしますので…ッ
姫様、私には、姫様しか御座いません。
どうか…、私を…、
お見捨てに…ならないで…下さいませ…ッ』
何…どう言う事…?
務めを果たすって何の話??
それに…メリーを見捨てるって…何なの?
メリーがうわごとの様に
こちらの胸に顔を埋めながら
謝罪の言葉を…繰り返しているが…
どうにも…そのメリーお謝罪は…
”私”に向けた謝罪では無くて
それに…こうして…私に縋り付いて
誰かに許しを乞うている このメリーは
少なくても…私が知ってる…”メリー”とは
かけ離れていると言うか遠く感じる気がする
「メリー、大丈夫…だから…、私は…
メリーの事を、見捨てたりしないよ?
逆に…私が…、出来損ないの…姫だからさ。
メリーに迷惑かけまくってる自覚あるからね。
だから…、こっちがメリーに呆れられて
見捨てられちゃう方だよ?メリーは、、
そんな風に…謝らなくて、いいんだよ?
私はメリーを、見捨てたりしないよ…?」