第12章 強制終了と執事の見る夢とメリーの嘘
でも…どうにも…引っかかる…んだけどなぁ
さっきの…警告音みたいなのが聞こえた時の
私の様子を慌てて見に来た時の
あのメリーの表情… 何と言うか…
私を見てる様で… 誰かを…
私ではない別の誰かを見てる様な
そんな 感じがした
それは…ほんの僅かな…
違和感の様な感覚だったけど
こう言う時の…女のカンと言うのは…
根拠らしい根拠は無いが
かなり高確率で当たる物なのだ
『…ぅ゛ぅッ、ハァ、ハァ…んっ、
ひ、姫様…ッ、お許し…を、
……も、う…、ハァッ、
これ…以上…は…ッ、なりませ…ん』
悪い夢でも…見ているのか
さっきまでは穏やかな寝息を立てていたのに
その…メリーが紡ぐ…寝言は苦し気…で
息遣いが荒く乱れていて…ッ
いや…私…何も…してないよ?無実だよ?
もしかして私があんな冗談を言ったから
私に襲われてる夢でも…見てるとか??
冷えピタを貼ってない部分に
玉の様な大粒の汗を浮かべていて
「すごい…汗…、何か…、拭くもの…ッ」
とりあえず…その…
額の汗を拭いて上げなくちゃと思って
いろははタンスの中から
洗濯の出来ている
綺麗なフェイスタオルを出すと
そのメリーの額の汗をタオルで拭った
『…んッ、…ぅ、
姫…さ、まッ、…ハァ、…ハァ…ッ』
その…呼吸も乱れて…うなされて居て
苦しそうな苦悶表情をしていた
メリーの顔と呼吸が
整って行くのを…感じて
その…端正な整った顔に掛かっている髪を
いろはが自分の手で除けると…
ガシッと眠って居る人の力とは
とても思えない様なそんな強い力で…
メリーに腕を掴まれてしまって
「メ、メリー???」