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妄想姫と魔法のステッキ【R-18】

第3章 魔法のステッキの魔法


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『…さ…、ま…』

『…――様、…ひめ様…?』


誰?誰かが…呼んでる…

誰だっけ?この声… 凄い…素敵な声

あれ?でも…この声…どこかで…

沈んでいた意識が…ゆっくりと浮上して来て

『姫様?姫様…!いつまで
お休みになられて居るのですか?姫様』

ガバッっとそのメリーの声に
いろはが飛び起きると

見知らぬ部屋…と言うよりは
見知らぬ空間と言う方が
表現が近いのかも知れない

真っ黒の世界に緑のフレームがある世界
昔見たバーチャルリアリティーと言うのの
原始的なレベルの世界に私は居て

アプリの中の…存在のはずの
羊の執事のメリーが私の目の前に居る

そう…居る… 何で?


「ここどこ?」

『あちらを…ご覧下さい…姫様』

そう言ってメリーがある場所を指差していて
いろはもその方向を見ると
切り取られた小さな四角い窓からは
見慣れた自分の部屋の天井が見えていて

『あちら側が姫様が、
普段お過ごしの世界でございます。
そして、今居られますのが、
姫様のお力が存分に発揮されます…
こちら側の世界のございます』

「スマホのアプリの中…って事?」

『こちらの世界で、
”魔法”と呼ばれている物は
あちら側の世界では、
その効果を失いますので。その証拠に…
お手にあるステッキをご覧になって下さい。
その姿こそが…、姫様の
魔法のステッキの本来の姿にございます』



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